香港式、とろとろお粥
熱々のお粥が美味しい季節になりました。女王は子ども時代お粥は苦手でしたが、大人になって大好物になりました。特に、香港などの中華圏で朝からいただくクリーミーなお粥が大好物。家でもしょっちゅう作ります。日本のお粥と少し手順が違いますが、ご家庭でも手軽に作れますのでぜひお試しください。
下ごしらえ① 鶏がらスープ
まず、日本のお粥との決定的な違いが「スープで炊く」ことです。スープは店や家庭によって様々ですが、今回は最も一般的な鶏がらスープを使いました。写真では、丸鶏のガラを使っていますが、面倒だという方は粉末の鶏がらスープの素をお使いください。ただしその場合は塩分が強くならないよう注意が必要です。
鶏がらから作る際は、熱湯で鶏がらの表面を流し洗いし、さらに冷たい流水でゴミを取り除きます。次に、たっぷりかぶるくらいの水を鍋に入れ、鶏がらと白ねぎの青い部分(捨てるところでOK)、しょうがの切れ端、包丁で叩き潰したにんにくを加えて火にかけます。
そのままコトコトとアクをすくいつつ1時間ほど煮て、冷ました後に上に浮く脂(上の写真でスープに浮く白い粒)を取り除いたら完成です。お米の分量の10倍ほどご用意ください。
下ごしらえ② ごはんの仕込み
中華粥のお米は、割れて形が崩れています。この状態を「花が咲く」とも形容しますが、それを作るのがお米の下ごしらえです。今回は1合、約二人前のお粥を仕込みました。まずは普通に洗って、お米をざるにあげてください。
きれいに花を咲かせるコツは、ざるに上げたお米をしっかりと乾かすこと。そして、乾いたお米に「油」をまぶすことです。1合で小さじ2杯ほど。まんべんなく表面に行きわたらせてください。手でやった方がいいと思います。油は「太白ごま油」が美味しいですが、サラダ油やこめ油でもOKです。
下ごしらえ③ 干し海老を戻す
ここはお好みではありますが、入れると入れないでは味が段違いの「海鮮系だし」。ブルジョアジーな方は、ぜひ干し貝柱をお使いくださいませ。プロレタリアな女王は干し海老を使います。ひとつまみ程度をひたひたの水につけて3時間ほど戻します。海老も戻し汁も使いますので、このままキープでお願いします。
ぐらぐら沸騰スープで炊きます
さて、下ごしらえが終わったら炊きましょう。準備が面倒ねと思われる方もいらっしゃるかもですが、ひと手間だけプラスすれば、加熱調理はそこまで日本のお粥と変わりません。お米のポタージュを作っていると考えると、手順としてしっくりくるかもしれません。
鶏がらスープに海老の汁をイン
鶏がらスープを鍋に入れます。お米が1合の場合、6~7合のスープを使います。女王はいつも土鍋のゆきひらで炊きますが、大きめであれば何でも構いません。このほか、後で追加する分のスープも3合ほど残しておいてください。
ここへ干し海老を戻し汁ごと入れて火にかけます。ぐらぐらに沸騰したら、海老ちゃんだけ取り出してトッピング用に。そして沸騰しているスープへ、油をまぶしたお米を一気に入れます。こうして一瞬にして高熱を加えることで、きれいな花が咲きます。これも日本のお粥と違うポイントですね。
常に沸騰させながら30分炊く
お米を入れたら、いったん温度が下がりますが、火力を調節しながら常に沸騰が続く状態で炊いてください。時間としては30分くらいでしょうか。そして「混ぜてはいけない」「水分を追加してはいけない」など、レシピごとにやり方が違うので、混乱される方が多いかもしれません。なので、ここはあくまでも女王式として参考になさってください。
煮始めて15分くらい経つと、スープに粘りが出てきます。この段階でもう米には火が通って柔らかくなっており、お玉でガーッとかき混ぜることでクリーム状につぶれてくれます。ただし、かなりべとべとになるので、追いスープで薄めた方が口当たりがいいです。
今回は粒を程よく残して仕上げたいので、これくらいになったら5分おきに軽く混ぜるだけにして、そのたびにお玉半分くらいずつスープを足しつつ様子を見ます。あんまり放置すると焦げますし、ケアしすぎてもダメです。子育てのようですね♡
ちょっと蒸らして出来あがり
好みの具合に仕上がったら、最後に塩で味を調整しましょう。この時、スープを少し足すとさらっと感が出ます。そして蓋を閉め、10分くらい蒸らします。女王はネバネバするお粥より、さらりとした口当たりが好きなので、最後にスープで微調整を行いますが「もうこれでいけるわよ」という方はそのまま召し上がってください。
盛り付け方でも差が出ます
どんぶりにお粥をよそってトッピング。香港では縁のぎりぎりまで入れる店が多いのですが、やけどしそうなので日本式に控え目バージョンです。海鮮や肉類など加熱が必要な具材は、仕上がる5分前に入れると良いでしょう。
トッピングはお好みで
女王の家ではもっぱらこのトッピングが多いです。黒いのが戻したきくらげ、その下がねぎと干し海老(出汁に使ったもの)、そして茶色が刻んだザーサイです。ここらへんはお好みで。ちなみに香港では「皮蛋痩肉(ペイダンザウヨウ)」という、ピータンと塩漬け肉のお粥ばっかり食べております。
はい、完成しました。最後にごま油をちょこっとかけ回して風味をプラス。もっと本格的に香港の味を再現したい方は、揚げパン(ヤウティアウ:油條)を入れるとよいのですが、なかなか家で作るのは面倒ですので今回は割愛しました。ちょっと風味は違いますが、仙台麩を焼いて入れてもいいと思います。いろいろご家庭で工夫してみてください♪