100円の「鶏皮」で4品作ろう

実は栄養たっぷり「鶏皮」

「鶏肉は皮を取り除いて使います」という方、けっこうおられるんじゃないでしょうか。カロリーが高い、脂っこい、独特の風味や食感が嫌い……などなど、何かと邪魔者にされがちな鶏皮ですが、焼き鳥屋さんでは人気者ですよね。しっかり加熱することで、脂が落ちて旨味がぐーんと凝縮される食材です。

しかも、鶏皮にはコラーゲンをはじめ、ナイアシンや不飽和脂肪酸など、体に必要な栄養素が多く含まれています。これを捨ててしまっては勿体ない。確かにカロリーは高いですが、それはグラム当たりのお話です。鶏皮をお肉と同じ分量召し上がる方は少ないですよね。しっかり油抜きして小皿や小鉢ひとつ分なら、気にするほどのカロリーにはなりません。そんな安くて美味しくて栄養価の高い鶏皮、今回は使い倒してみたいと思います。

一度の調理で4つのメニューが作れます

用意したのは、食肉コーナーの片隅でひっそりと売られているパックの鶏皮。きっと皮なしチキンをパックするときに出た余りでしょう。安いんです。こんなにいっぱい入って、100円弱でした。やる気のないスーパーですと、もっと安いです。店によって少し肉がついていることもあり、この写真のものがまさにそう。こういうのは「酢の物」に最適です。(以下に説明)

さて、この鶏皮を一連の流れで4つのアイテムに分離します。「鶏皮の酢の物」「鶏せんべい」「鶏スープ」「鶏油」です。100円で4つよ!予算を抑えたい大人数のパーティーなんかにも最適なので、ぜひ試してみてください。

その1・鶏皮の酢の物

博多の焼き鳥屋に行くと、必ず出てくる「皮酢」です。お通しに出す店も多いですね。安いし、一度にたくさん作れます。まずは茹でましょう。たっぷりの湯をわかし、ほんのひとつまみの塩、ちょろっとお酒、あれば生姜の皮や白ねぎの葉先などを入れてもいいです。

3分茹でたところで半分引き上げます

鶏皮の酢の物だけ作るなら、このまま10分ほど茹でてください。しかし、今回は鶏せんべいも作るので、3分茹でた時点で半量を引き上げます。このとき、皮だけのものを引き上げ、肉がついている皮は湯の中に残してください。肉がついている皮は、鶏せんべいに向きません。逆に、ちょっと肉が残っている皮は酢の物にすると美味しいのです。

残った半分、しっかり茹でて触れる程度に冷まし、刻んでポン酢と柚子胡椒、少しだけ茹で汁を加えて和えます。熱いからといって決して水で洗わないでください。旨味が抜けます。熱が取れたら冷蔵庫へ。途中、1回上下を返して1時間ほど冷まします。

出来あがり。少しぽん酢がゼリー状になっているのが分かるでしょうか。茹で汁を少し入れることで、コラーゲンがゲル化しています。それだけコラーゲンが豊富なのです。味の絡みもよくなるので、おすすめの小技です。

その2・鶏スープ

ええ、ただの茹で汁です(笑)でも捨ててしまっている人いませんか?なんてもったいないんでしょう。取っておいてください。あれこれ使えます。「今すぐ使わないわ」という場合は、冷凍しておくといいです。女王の厨房では薄いバットで凍らせ、割ってビニール袋に入れています。

アクと脂はしっかり取り除くのが重要

ただのゆで汁をスープにするためには、雑味を取り除く必要があります。茹でているうち浮いてくるアク、脂などはしっかり処理しておきましょう。写真で黄色いものが浮かんでますよね。これは下記で説明する「鶏油」なのですが、スープには不要なので除去します。

最初に、茹で汁に少しの塩と酒を入れたのは、旨味をアップするため。茹でている鶏皮だけでなく、その後に残るスープも格段に良い味になります。スープは野菜を煮てもよし、シンガポールチキンライス(海南鶏飯)を炊く時に使ってもよし、カレーの水代わりに使ってもよし。何でこれ今まで捨てていたのかしらというほど活躍するのですが、おすすめの方法ナンバーワンがこれ↓

インスタントラーメンをこのスープで作ると、めちゃうまい!特に塩ラーメンは劇的に味がランクアップするので驚かれると思います。写真は、中華●昧の塩味をこのスープで作り、レモンをトッピングした女王特製塩レモンラーメン。女王宅では鉄板メニューでございます。

その3・鶏皮せんべい

お次は、さきほど途中で引き上げた方の皮で作る「鶏皮せんべい」です。パリパリと香ばしい食感が最高ですよね。たまに鶏肉の専門店や居酒屋さんで見かけますが、家でもかんたんに作れます。ただし、少し時間がかかりますので、気長にじっくり構えてください。

弱火でじわじわ、がんばりましょう

鶏皮は水けをきって、ひと口大に切ります。キッチンハサミで切ると簡単です。このとき、焼くと一回り縮むことを念頭においてください。あんまり小さいとミンチみたいになってしまいます。やや大きいかな?くらいでちょうどいいです。

フライパンに油を入れず、そのまま鶏皮を並べて火にかけます。火加減は中火。じわ~っと音がしてきたら、弱火に落としてそのまま待ちます。ここでうわ~っとかきまぜたくなるんですが、パリパリにしたいならじっとがまん。まずは鶏から脂がしみ出してくるのを待ちます。

脂が出てきました。ええっ、さっき茹でたときも出たけど、まだ出るの?と思うほど出ます。この脂の中で揚げるように焼くことで、独特のパリパリ感と濃い旨味が出るのです。

お箸でちょいちょいと裏返しつつ、まんべんなく色をつけていきます。ぶよぶよした部分が鍋肌に当たるようにすると脂が早く出ます。少し色がついて来ましたね。でもまだまだ。

うん、かなり良い感じです。ここまで来たら、いったん油を別の容器に取ります。しっかりゴムベラみたいなので取り切ってください。その後、また鶏皮だけフライパンに戻して、乾煎りします。これでパリパリに!

最後に軽く塩コショウを振ればできあがり。これはもう、ビールがぐいぐいいけますよ。数十円でこれができるなら、スナック菓子を買うより安上がりです。お好みで七味やガーリックパウダーなどを振っても美味しくいただけます。

その4・鶏油(ジーユ)

鶏皮せんべいの仕上げで、フライパンから取り出した脂がこちら「鶏油(ジーユ/チーユ)」です。中華食材コーナーで見かけた方も多いでしょう。中華圏のスーパーに行くと、大きなペットボトルで売っています。

まずは、野菜の炒め物を作ってみて

売っている鶏油は透明な物も多いですが、生の皮から作った100%はこのような黄金色です。室温ではねっとりしていて、冷蔵庫では白く固まります。冷凍もできますが、少量なら冷蔵庫保管で使い切った方が味がいいです。

まず、やってみていただきたいのが、野菜の炒め物。もやしを、この鶏油と塩だけで炒めても美味しいですし、にんにくのスライスで青菜を炒めると、香港や台湾で食べたあの味に近づきます。また、炒飯や焼きそばも、コクが増して非常にグレードアップしますし、汁物に落とすのもおすすめです。ぜひ、鶏の旨味をきかせた料理にトライしてみてください。

以上、100円で4品の超節約宮廷料理でしたw