おでんの季節でございます!
いよいよ今年も残すところあと数日。年末年始のイベントを満喫されている方も多いでしょう。この時期、美味しいもののひとつに「おでん」があります。土地によって味わいいろいろ、関西では「関東炊き」とも呼ばれております。
女王はおでんが大好きで、お客様がいらっしゃるときによく作ります。「でも、おでんって庶民的で、おもてなしには向かないわ」と思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、銀座や北新地で食べるおでんの値段を見たら、庶民なんて言ってられません。世の中にはセレブなおでんがございます。今回は、そんな「ちょっと贅沢」なネタのおでんをご紹介します。
まずお出汁はこちらをご覧ください
おでんのお出汁は地方によって様々。今回は関西風の薄味の出汁で炊きました。もちろん味噌や醤油の濃い味でもよろしいですよ。ただ、ネタによっては合うものと合わないものがありますので、味のバランスは工夫なさってください。
女王愛用の出汁パックはこちらでご紹介しております。
王宮おでんのネタをご紹介します
セレブなおでんは、全部を一緒に入れて炊くことはしません。大根やこんにゃくなど、しっかり煮た方がいいもの、魚介や葉物野菜など、さっと火を通すだけでいいもの、それぞれの具材に最適な加熱時間で仕上げます。
そう、専門店のカウンターの向こうで、職人さんが注文を受けてから火を入れる、あのスタイルです。継ぎ足し用のお出汁もある程度ご用意ください。煮ているうちに濃くなりますので、味付けしないままでおいて、時々足すようにすると最後まで美味しくいただけます。
基本の大根、こんにゃく、餅巾着
大根はいくつあってもなくなってしまう人気のネタ。お安い食材ですが、下ごしらえの丁寧さが味に影響します。輪切りにして厚めに皮をむき、角を面取り。片面に十字にかくし包丁を入れ、米のとぎ汁で冷たい温度から下茹でしたあと、そのまま冷まして水洗い。これを冷たい出汁に入れ、煮ては冷ましを2回やっつけたら「しみしみ」です。
こんにゃくは生芋タイプが味が浸みやすく、煮ても歯応えがよいので好んで使います。塩でもんで30分ほど放置し、そのまま熱湯で10分ほど茹でます。これを水にさらして臭みを抜き、大根と同じように煮ては冷ましで味を染ませます。
餅巾着は市販のものでもいいですが、杵つきのしっかりしたお餅が好きなので、熱湯で油抜きしたお揚げで作ります。これは食べる直前に入れてさっと煮るだけです。煮すぎるとお餅が溶けて汁が濁るのでご注意を。
ひろうす(がんもどき)、ねぎま
関西では「ひろうす」または「ひりゅうず」。漢字では「飛竜頭」と書きます。ほかの地域では「がんもどき」と呼ばれていると思います。お出汁をたっぷり吸って美味しいですよね。同じお豆腐からいろんな味のものができるの、素晴らしいと思います。
こちらは油抜きして、さっとお出汁で炊いたあと、しばらく冷ますと味がしみます。でも、あんまり炊きすぎると食感が悪くなるので、加減が大事です。
ねぎまの串は、刺身用のまぐろと白ねぎ(根深)。鉄板のおいしさです。5分ほど煮てまぐろに火が通ったら食べごろ。上にかかってる黒い粉は「山椒」です。ねぎまには相性最高ですので、ぜひお試しください。
牡蠣、結び九条ねぎ
さあ、セレブ度が高くなってきました(笑)「牡蠣」です。加熱用の大きくふっくらしたものをお選びください。そして濃い目の塩水に酒を垂らした水でさっと洗い、ざるにあげておきます。これを串にして、さっと炊きます。加熱しすぎたらもったないですよ、鍋から離れず、最高の頃合いで引き上げて。
「九条ねぎ」も冬が美味しい季節。濃い塩水でさっと火を通し、くるくるっと巻いて結びます。真水ではなく塩水で茹でると、出汁で加熱しても色がきれいです。これも温まるくらいでけっこう。日本酒~~~と叫びたくなるようなコンビです。
たこ、せりのお揚げ巻き
「たこ」も高級食材ですね。煮すぎると固く身が縮んでしまうため、下ごしらえとしてさっと出汁で煮て、そのまま汁に浸かった状態で冷ましておきます。これを食べる前に再び煮ていただきます。こうすると長時間煮て起こる、皮むけも防げます。
「せり」は、香りを楽しむ大人のおでん、って感じですね。こういう葉ものは、揚げやかんぴょうで巻いておくと、見栄えが良いですし、鍋の中でバラバラになりません。生のまま巻いて、さっと出汁で炊いて仕上げます。
焼き豆腐、牛すじ
王道の2品。なんで「焼き豆腐」かと言うと、普通の豆腐より煮崩れしにくいんです。それでもやはり形が保ちにくいので、極力こいつの周りはかき混ぜないよう気をつけましょう。沸騰が続くと焼き豆腐でも「す」がたちます。ゆっくり煮て、冷まして味を含ませてください。出来上がった暁には絶品パラダイスです。
牛すじに関しては、女王は圧力鍋を使わないのでやや面倒。ただし味はマッチベターです。熱湯でボイルした牛すじを冷水で洗い、ひと口大に切り分け。ワインのボトルの底でバンバン叩き、繊維をボロカスにしばきます。その後、出汁で煮て冷ますを2回以上。もちもちでジューシーな絶品すじの出来上がり~
たけのこ穂先、ぎんなん
「たけのこ」は贅沢に半分から上だけ使います。茹でてあるたけのこを、熱々の出汁で煮てそのまま冷まし、食べる前に再加熱。たけのこの品質によっては筋張って最悪、ってな具合になりますので、王宮レシピでは国産の最高級品を使用します。
ぎんなんは、殻ごと炒って中身を取り出し、薄皮をむきます。串に刺すときは割れやすいので、串を回すようにして刺しましょう。これはさっと炊いておしまいです。煮すぎるとやわやわになって美味しさが逃げてしまいます。
京揚げ、いわしつみれ団子
「京揚げ」って関西だけかしら?お揚げの分厚いやつ。これを油抜きして、くるっとロールにします。香ばしさとじゅわっと感のバランスが最高。はしっこは爪楊枝で止めて、食べるときに取り除きます。
「つみれ団子」は、市販のものでもOKですが、自分で作っても簡単です。小骨を除いたいわしを叩いて、ねっとりしたミンチに。ねぎ、しょうがを足して練り練り。少し片栗粉の水溶きを加えると仕上がりがよくなります。少し味噌を入れても美味しい。
小芋(里芋)、ロールキャベツ
大好きな「小芋」。関西以外では「里芋」ですね。この子はお出汁の汁を吸って美味しく化けるので、おでんにはなくてはならない食材です。頭とお尻を落として八角形か六角形にむいて、塩ですりすり。さっと水洗いして下ごしらえ完了。あとはそのまま出汁で炊いてOKです。
右側は自家製の「ロールキャベツ」。中身は鶏のミンチと、ねぎ、たけのこの根っこに近い部分。(使わなかった、たけのこの部分)ここらは家庭によって中身を変えると面白いかも。小さめに作ると鍋の中で納まりやすいのでおすすめです。
厚揚げ、どんこしいたけ
王道「厚揚げ」。女王の大好きなネタです。じわじわ煮て冷ましを2回。油をしっかり落とすのが美味しさのコツ。生姜を添えても美味しくいただけます。
どんこしいたけは、とにかく素材勝負。どっしり分厚いしいたけに、十文字の切れ込みでジューシーさアップ。かみしめると「じゅわ~」の幸せを体験してください。この切込み、あるなしで大違いですよ。
コールマンのマスタード
今回の記事にたびたび登場していたこの黄色いやつ。イギリス、ノーフォーク州ノーリッチ在住の友人にもらった、マスタードポットです。
女王宅では、辛子が出番の時はこのポット。もちろん辛子はイギリスが誇る「コールマン」一択です。上品な甘みとシャープな香り。粉をぬるま湯でといて、このポットに入れておくと、30分後にはパーフェクトなマスタードのできあがり。こればかりは他に変えようがないお気に入りです。