台湾の味「ルーローハン」を自宅で

台湾といえば「魯肉飯」

台湾の街角やコンビニで、ふっと感じる八角の香り。「ああ台湾に来たな」と思う一瞬です。台湾ではお醤油とスパイスで甘辛く炊いた煮物を「魯味(ルーウェイ)」といい、日本のおでんのような感覚で食べられています。それが街角のあの香りの正体です。

ちなみに「魯」とは「煮る」の意味で、今回ご紹介する「魯肉飯(ルーローハン)」とはお肉を煮てご飯にかけた、台湾式肉どんぶりです。ただし、日本のどんぶりのように大きな器ではなく、ご飯茶碗の大きさでサーブされます。食が細くなった女王世代には、あれこれ食べられてとても助かります。

豚のバラ肉をかたまりでドーン

魯肉飯の主役となる、豚肉。というか、豚肉オンリーです。使用するのはバラ肉で、できれば皮のついた三枚肉がいいのですが、スーパーでは手に入らないので普通のバラ肉で結構です。こちらは約450g、1ポンドほどございます。四人前くらいでしょうか。

「あたしバラ肉きらいなの」という方は、ロースなどでも結構です。実際、台湾にも赤身肉で作る「肉燥飯」という料理がございます。ただし、やはり少しパサついてコクが出ません。がっつり行きたい方は、ぜひバラ肉で。なお、バラ肉を買う時は、なるべく脂身の層が少なめのものをお選びください。脂がうまいと言っても、脂身が勝っているとギトギトします。

さて、このバラ肉ちゃんを切っていきます。女王の魯肉飯は台湾のものにくらべて肉のサイズが大きめです。そして、パクッと食べたとき赤身と脂身を一緒に味わいたいので、層を縦にカットします。やり方を写真で説明しますので見てください。まずはこのように1.5センチくらいの幅に切ります。

そしてそのひと切れを、このように縦向きにカットします。こうすると、赤身も脂身も一緒になります。この切り方は、炒め物などにも応用できます。なお、お肉の端っこに必ず出るであろう、脂身オンリーの部分。ここをカットして脇によけておいてください。焼く時に使います。

はい、全部切り終わりました。けっこうどっさりに見えますが、焼くと少し量が減ります。生肉の8割くらいに仕上がると思っておくといいのではないでしょうか。

「八角」で台湾のフレーバーを

次は調味料を揃えましょう。薬味になるものから見ていきます。お皿の上、星みたいな形をしているのが「八角」です。英語だとスターアニスと言いますね。甘い香りが何とも素敵です。ポキッと角を折って紅茶に入れても美味しいですよ。あとはにんにく、しょうが。真ん中の小さい粒が「花椒(ホアジャオ)」、中国の山椒です。

ここらはチューブや粉末でも結構です。ただし、煮ている間に香りの飛びが早いため、仕上げにも少し足すと良いでしょう。女王が使っているのはこのようなものです。花椒は台湾で買いましたが、日本でも大きめスーパーなら中華材料コーナーで見つかると思います。

中華鍋で焼くと煮るを一気に

中華鍋、または深めのフライパンや、炒め物が可能な鍋に、さっき取り分けておいた豚の脂身を入れます。すき焼きのケンネ脂みたいな感じですね。よく熱して、油を溶かし出してください。

油が出たら、お肉を炒めます。元気よくかき回すと肉の赤身と脂身が分離してしまいますので、最初はじっくり焼き付ける感じで。

肉にしっかり火が通ったら、味付けをします。熱湯をお玉2杯ほど、これで鍋肌についた旨味を落としてください。その後、砂糖大さじ1.5杯、みりん大さじ1.5杯、醤油大さじ2杯、酒大さじ3杯、塩ひとつまみ、さきほどの薬味類を入れて、ぐつぐつ煮ます。

いい匂いがしてきました。あまり強火だと汁が蒸発しますので、沸騰が続くくらいに火加減を落として、蓋をしたまま10分ほど煮ます。途中、水が干上がりそうになったら熱湯を足してください。

「魯蛋(ルーダン)」も作ります

オプションとなりますが、今回はトッピング用に「魯蛋(ルーダン)」も同時に作りました。いわゆる煮卵ですね。半熟にゆでた卵の殻をむき、耐熱容器の底に置いておきます。そこへ煮上がった熱々の肉と汁を注ぎ、そのまま冷まして冷蔵庫へ。(卵いらないよという方は、そのままご飯にかけて召し上がってください)

卵を肉と一緒に煮ると半熟が台無しになりますが、この方法なら表面に味だけつけられます。ジッパー付きポリ袋でもいいのですが、かなり熱いものを入れますので、温度に耐えられるかどうかチェックしてください。女王は袋が破れて大変な事態になったことがあります。

すっかり冷蔵庫で冷えたら、再度過熱します。わかりますか、汁がゲル状になってますよね。肉のコラーゲンで煮凝りができています。そして肉にも卵にもしっかり味が染みています。これを温め直すことで再びゲルが汁に戻り、魯肉飯のスタンバイが整います。

固めのごはんにどっさり乗せて

さあ、ご飯に盛り付けましょう。できれば、少し固めに炊いたご飯がいいですね。台湾スタイルで小さなご飯茶碗でいただいてもいいですし、このように少し大きめの丼でもご自由に。写真はご飯茶碗に1.5杯分です。

お肉をたっぷり乗せて、卵をあしらい、美味しい汁をたら~りと。台湾風の薄味のスープがあれば、さらにゴージャスになること間違いなしです!ぜひお試しを♪